一刻もはやく

死んでしまうべきであるまたそんなことを言っているのか？と呆れると思うがわたしの頭の中にはいくつかの枕詞が二十四時間三百六十五日ずっとずっと回り続けていて、そのうちの一つが「はやく、」というやつである。「はやく、」何なのか、はやく、はやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやく、続く言葉が分からない。枕詞の癖に分からない。ただ一つ、おそらく、「はやく、」死んでしまうべきなのである。それだけは分かる。わたしがわたしのために生きようと思い立たないうちに、苛立ちが背中を押してくれるうちに、一刻もはやく、死んでしまうべきである。こうして連ねているうちは死なないのだろうと思う人があるとしたら、それは大きな間違いで、自分が少しでも力になりたいなどと思う人があるとしたら、それは大きな勘違いである。わたしは心臓に癒着している鈍い痛みをはやく解放しなければならない。そしてこの痛みはわたしだけのものであり、誰一人として共有できない、はやく、はやくはやく、わたしは贅沢なわたしの身体を殺すべきである。はやく、はやく、わたしの中の他者がわたしの身体で飛び降りるべきである。